2019年12月23日

日本の痛風患者が100万人、高尿酸血症患者は1000万人に

健康コラム

近年増加している「痛風」と「高尿酸血症」。今回は、尿酸値の上昇を防ぐ食生活のポイントをご紹介します。

痛風・痛風予備軍は増加。腎臓病などのリスクも

「痛風」とは、関節にたまった尿酸が結晶化し、関節炎を伴う症状を引き起こす病気です。激しい痛みが特徴で、“風があたっても痛い”ことが病名の由来とされます。男性に多く、女性は女性ホルモンの影響で発症しにくいといわれています。

また、血中の尿酸値が7.0mg／dLを超えた“痛風予備軍”の状態を「高尿酸血症」と呼びます。尿酸値が高い状態が続くと、痛風だけでなく脳卒中や心筋梗塞、慢性腎臓病など、さまざまな病気の発症リスクが高まります。

「国民生活基礎調査」によると、現在、国内での痛風患者は100万人と推定されています。また、高尿酸血症患者は1000万人と推計されています。

尿酸値上昇には、食生活の欧米化も関与

痛風患者数の増加には、食生活の変化が関係しています。

今年改訂された「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」には、明治時代の日本には痛風患者がいなかったと記載されています。当時の診断技術を考慮すると、まったく存在しなかったとは考えにくいですが、当時よりも痛風患者数が増加した原因のひとつは、食生活の欧米化であることは確かでしょう。

アルコールと果糖の摂りすぎに注意

尿酸値の上昇に大きく関わっているのがプリン体です。穀物や肉、魚、野菜など、様々な食品に含まれるほか、人間の体内でも生成されています。分解されると尿酸になるため、プリン体のとりすぎは高尿酸血症や痛風を引き起こします。

食品の中で特にプリン体含有量が多いのはビールです。一般的に、ビールをはじめとする醸造酒は、焼酎などの蒸留酒よりも、プリン体を多く含んでいます。そのため、しばしば、「尿酸値が高くても、プリン体の少ない蒸留酒なら飲んでOK」と説明されることがありますが、これは誤解です。醸造酒か蒸留酒かに関わらず、アルコール（エタノール）自体が代謝の過程で尿酸を産生することが明らかになっています。血清尿酸値が7.0mg／dLを超えた場合に行われる食事指導の内容にも、「アルコールの摂取制限」が含まれています。尿酸値が高い場合は、アルコール全般を控えましょう。

また、果物などに含まれる果糖（フルクトース）も、代謝の過程で尿酸を産生します。果糖を多く含む、果物や清涼飲料水の摂りすぎにも注意しましょう。食生活の改善に加えて、尿酸値対策に役立つルテオリンやアンセリンなどの機能性成分を、サプリメントで摂るのも効率的です。