サルコペニア、フレイルに要注意

筋肉量が減少するサルコペニア

サルコペニアとは加齢や疾患により筋肉量が減少することで、全身の筋力低下または身体機能が低下することです。 転倒やふらつきなどの原因になり、寝たきりになる可能性も出てきます。

■骨格筋指数(㎏/㎡)※1の年代別推移

骨格筋指数(㎏/㎡)※1の年代別推移

※1: 四肢除脂肪量(ALM) (kg)/(身長(m))より算出

※2: 筋肉の種類のひとつで、骨格に沿って分布しており、身体の活動を支えているもの。
一般に筋肉と呼ばれているものはこれを指す。

引用: 平成29年国民健康・栄養調査(厚生労働省)をもとに作成

骨格筋※2指数は、加齢とともに減少。
80代は60代と比べ、女性は約8.9%、男性は約16.6%も減少してしまい、
身体機能の低下にもつながっていきます。

サルコペニアの診断基準

日本ではアジアのワーキンググループ(AWGS)が提唱する診断基準の使用が推奨されています。

■診断基準

  1. ①筋肉量減少:専門的装置を使用し骨格筋量を測定します。
     男性7.0kg/㎡未満 
     女性5.4kg/㎡未満または5.7kg/㎡未満(測定方法により異なる)

  2. ②筋力低下:握力を測定します。
     男性28kg未満 女性18kg未満

  3. ③身体機能の低下:3つの項目のうちひとつ
    ●6m歩行速度 1m/s未満
    ●5回椅子立ち上がりテスト 12秒以上
    ●SPPB(身体能力のテスト) 9点以下

①+②または①+③に該当する方は サルコペニアです。

[もしかしたら、サルコペニアかも]

  • ●ふくらはぎの太さ:男性34cm未満 / 女性33cm未満
  • ●握力と5回椅子立ち上がりテストが診断基準にあてはまる。

サルコペニアの可能性があります。気になる方はお近くの医療機関にご相談ください。

参考:AWGS2019によるサルコペニア診断基準 Chen LK, et al. J Am Med Dir Assoc, in press

身体能力が低下するフレイル

フレイルとは「加齢により心身が老い衰えた状態」を言います。シニアの低栄養やサルコペニアを起因として疲労、活力低下、筋力低下から身体機能の低下、活動の低下につながっていきます。脳卒中などのケースを除き、シニアの多くはフレイルの状態から段階的に寝たきり、要介護状態になると考えられています。フレイルを理解し、予防に努めることが健康寿命を延伸するためにも大切です。

■フレイルの定義

  1. ①体重減少
  2. ②主観的疲労感
  3. ③日常生活活動量の減少
  4. ④身体能力(歩行速度)の減少
  5. ⑤筋力(握力)の低下

1〜2項目あてはまるとフレイル前段階、3項目以上はフレイルと考えられます。

参考:Fried LP, Tangen CM, Walston J, et al. Cardiovascular Health Study Collaborative ResearchGroup.
Frailty in older adults: evidence for a phenotype. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2001;56: M146─56.

フレイルが持つ多面的な側面

フレイルの問題は低栄養やサルコペニア、転倒の増加、口腔機能の低下など身体的な側面だけではありません。判断能力の低下、認知機能の低下、抑うつなどの精神的側面や閉じこもり、孤食、コミュニケーションの減少など社会的側面もあります。
これら多面的な側面がそれぞれ重なり合い影響を及ぼしているので、フレイルは総合的に考えなければなりません。
フレイルの予防、改善には早期発見が重要でさらに、ひとつの側面だけではなく、包括的にアプローチすることが必要になります。

フレイルの多面性

社会的[閉じこもり、孤食] 身体的[低栄養・転倒の増加 口腔機能低下] 精神的[意識・判断力や認知機能低下、うつ]
健康寿命延伸のサポートに向けた答えとなる新習慣 歩活でずっと元気に自分らしく