HOME > 書籍 > 著者インタビュー Vol.13 石原真弓
プロフィール
石原真弓
英語学習スタイリスト。高校卒業後、米国留学。コミュニティーカレッジ卒業後、通訳に従事。帰国後は英会話を教える傍ら、執筆やメディア出演、スピーチコンテスト審査員、講演などで幅広く活躍。英語日記や英語手帳、英語ツイッターなど、身のまわりのことを英語で発信する学習法を提案し続ける。著書に、『英語で日記を書いてみる』シリーズ、『英語で手帳をつけてみる』(ともにべレ出版)、『Twitterで英語をつぶやいてみる』(NHK出版)、『絵でわかる 愛され上手の英会話』(学研教育出版)など。中国語や韓国語に翻訳された著書も多数。
書籍
英会話 これが最後のやり直し!

DHCライブ講義シリーズ
英語リスニング
これが最後のやり直し!

見てわかる英語と、耳から入ってくる英語のギャップを縮めること、 それがとても大事だと思います。
英語を学ぶうえで、リスニングが最も苦手という方が多いようですが。

私自身も苦手でした。どのくらいリスニングができなかったかというと、10代の頃、デンバーに留学するときの往きのフライトで、まず、客室乗務員の言っていることやアナウンスなどが、ほとんど聞き取れませんでした。ロサンゼルスでデンバー行きの飛行機に乗り換えるのですが、航空会社が変わるので、コンコースも変わる。そこまでの行き方を、インフォメーションデスクで聞いてみても、返ってくる表現が全然聞きとれない。一度は、「すみません、もう少しゆっくり言ってくれませんか」とお願いするのですが、ゆっくり言ってもらってもわからない。でも、もう一度、言い直してもらうのは恥ずかしいので、その場は、Thank you.と言って、次のインフォメーションデスクでまた同じことを繰り返す。そのぐらいのリスニングレベルでした。
学校が始まって、授業料を払うときに、「何々の人はこちら、それ以外の人はこちらに並んでください」という“何々”の部分が聞き取れない。英語ができる日本人の方に聞いたら、「奨学金の意味だよ」と。scholarshipと言っていたみたいです。
このscholarshipのように、語彙が貧しくて相手の言っていることが理解できないのは日常茶飯事でしたが、見ればわかる英語が、実際、聞いたときにわからないというケースも往々にしてあるんですね。もちろん、見てもわからない英語は、聞いてもわからない、それは文法力や語彙力にかかわってくるものだと思いますが、見ればわかるのに、それを聞いたときにわからない場合は、音の変化のルールを知ることによって、かなり改善されてくるものです。まずは、見てわかる英語と、耳から入ってくる英語のギャップを縮めること、それがとても大事だと思います。

音の変化のルールとは、具体的にどんなものか、一例を挙げて教えてください。

例えば、get itの場合、極端に言うと「ゲット・イット」ですが、ネイティヴスピーカーは、「ゲティッ(トゥ)」のように最後の[t]が聞き取れないくらい[t]音を弱く、そしてgetの[t]と、it の[i]をくっつけて発音しています。さらに「ティッ」は「リッ」に近い音に変化して「ゲリッ(トゥ)」となります。これがわかると、get itが cut itに変わっても、「カリッ(トゥ)」が「カット・イット」のことだと聞き取れるようになる。
もう一つ、“I like him.”はどうでしょう。おそらく誰でもわかると思います。でも、「アイライキム」と言われると、一瞬「何?」と戸惑いませんか? like とhimがくっついてしまっていることがわかると、“I will tell him.”が「アイルテリム」となっても、「アイ・ウィル・テル・ヒム」のことだと理解できるようになります。
このように、ネイティヴスピーカーがどのように音を変化させているかを知ることによって、見ればわかる簡単な表現は聞き取れるようになると思います。この本では、そのための耳のトレーニングをしていただきます。

あえて中学英語レベルで耳をトレーニングし、聞き慣れることで自信をつけることが大事です

そのためにCDがついています。

例文として、特に日常会話でよく使われるような表現を意識して選び、ゆっくりから、少し速く、徐々にナチュラルなスピードへと速さを変えて、同じセンテンス、あるいは同じフレーズを繰り返して吹き込んであります。そうやって音がどういうふうに変化するのかを聞き分けることによって、音のルールを理解できるように構成しています。こうして耳をトレーニングすることで、それまでは単語を1個1個追っていた耳も、単語と単語がくっついたり、音が脱落したりすることに慣れていきます。そして最低限の音のルールを理解してしまえば、なまりやスラングなどを除いて、CNNなどといった速いスピードでも、単語さえわかれば聞き取れるようになると思います。

リスニングの苦手意識を克服するには?

音の変化を理解しないと、全然聞き取れない、するとリスニングは苦手となってしまいます。リスニングの苦手意識を克服するためには、見てわかる英語のレベルで耳を慣らすこと。twentyを速く発音するとどうなるか? centerは? “It’s on the counter.”は? こんな簡単な単語や文章では、“やり直し”の大人には、もの足りないと思われるかもしれません。つい背伸びした教材を使いたくなるものですが、そこをあえて中学英語レベルで耳をトレーニングし、聞き慣れることで自信をつけることが大事です。
よく勘違いしがちなのは、教材をパラパラと読んで、だいたい理解できると思ったとき、それが自分の英語力と過信してしまうこと。例えば、その教材の英語を隠して日本語を見たときに、どれだけそれをパッと英語にできるか。瞬時に英語にできれば、それだけ知識はあると思っていいでしょうが、たいていの場合は迷うと思います。英語の知識というのは受信型で理解できるかどうかではなく、発信型にしたときにいかにパッと表現できるか、あるいは書くことができるか、それで判断していかないと。

ほかのリスニングの本と違う点はどこでしょう?

本書にはCDが3枚ついていますが、そのうちの2枚はわかりやすい解説のライブ講義とエクササイズです。私が知る限りでは、音声で解説が入っている教材はあまりないと思います。ネイティヴスピーカーが単語や例文を発音するだけではなく、私が日本語で解説を加えているので、例文とともに解説を思いだして、きちんと理解しながら進むことができます。そのほうが、より効果的に頭に入るという狙いがあります。しかも、これならテキストを開いて勉強する必要がなく、料理など、ほかのことをしながらでもリスニングの勉強ができるという利点があります。なかには、あまり日本語が入っていないほうがいいと思われる方もいらっしゃるかもしれません。そういう方のために、もう1枚のCDはネイティヴ音声中心の復習用CDとしました。ライブ講義からネイティヴ音声を抜き出して入れてありますので、リスニングの強化と復習を図っていただきたいと思います。またすべての授業を復習できる私の特別おさらいレッスンも入っているので、ぜひ活用していただきたいと思います。
もう一つ。音がどういうふうに変わるか、音の変化を意識して編集した点が最大のポイントです。一般的にリスニングの本は発音記号から入っているものが多く、もちろん発音記号も大事なのですが、今回は、大人の方のやり直し英語なので、見ればわかる英語のレベルの発音記号はすでに知識があるという前提で、“見ればわかる”を“聞いてわかる”レベルにもっていけるような、かつ、日常生活において受信型ではなく発信型で使える表現を意識しました。
 それらの根底には、多くの英語学習者の方が経験なさる様々なお悩みがあります。「こういうふうに言われたのですが、聞き取れませんでした」「私にはこういうふうにしか聞こえなかったのですが」などなど。そんなお悩みに答えるかたちで、日常使える表現を例文として取り上げています。

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