寄り添い、共に歩もう。
「グルコサミン」が照らす
明日への一歩。
2022.04
日本におけるグルコサミンの第一人者で、臨床医である橋本先生に、ひざなどの関節トラブルやその対策についてお話を伺いました。
橋本 三四郎 医師
南新宿整形外科リハビリテーションクリニック院長。日本整形外科学会専門医。日本整形外科学会運動器リハビリテーション認定医。日本リウマチ財団登録医。

――先生のクリニックにはどのようなお悩みをもった方がいらっしゃるのですか。

ひざや腰の痛み、歩きづらさを訴えていらっしゃる“ロコモティブシンドローム”の方が多いです。

  • そのうちの約半数が「変形性膝関節症へんけいせいひざかんせつしょう」です。加齢などが原因でひざの軟骨がすり減ると、関節の変形や痛みを伴う症状がでます。当初は、ひざに違和感やこわばりを覚える程度ですが、放っておくとすり減りが進んで骨同士が直接ぶつかって強い痛みを感じ、歩くこともままならなくなってしまいます。

ロコモティブシンドローム
とは?

ロコモティブシンドローム(運動器症候群)とは、筋肉や関節、骨などの運動器官の衰えにより、日常生活を送るのに介護が必要になった状態や、その危険性が高い状態をいいます。高齢社会が進むにつれて患者数は年々増加。日本の新たな国民病ともいわれています。進行すると寝たきりになる場合もあるため、いつまでもげんきで自立した生活が送れるよう、予防を心がけることが重要です。

ロコチェック
次のうち一つでも当てはまる場合はロコモが疑われます。
  • 片脚立ちで靴下がはけない
  • 家の中でつまずいたり、すべったりする
  • 階段を上がるのに手すりが必要である
  • 横断歩道を青信号で渡りきれない
  • 15分以上続けて歩くことができない
  • 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが
    困難である(2kg=1Lの牛乳パック2本程度)
  • 家の中のやや重い仕事が困難である
    (掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)

――どのような方が「変形性膝関節症」になりやすいのでしょうか。

特に女性に多いですね。60代後半くらいから年齢とともに増えていきます。

  • 早い人では、50代でひざの痛みを訴える方もいらっしゃいます。女性はもともと筋肉が少ないので、加齢によって筋力が落ちてくることが大きな原因です。
    私のクリニックでは、リハビリに取り組んでいただくとともに、痛みの度合いに応じて薬の投与も行います。治療に加えて、グルコサミンの摂取もおすすめしています。

――グルコサミンは先生が日本に紹介されたと伺いました。

そうです。グルコサミンを用いた療法を紹介した大ベストセラーを読んで、
ぜひ日本に紹介したいと思いました。

当時はアメリカで軟骨の研究をしていました。日本ではまだグルコサミンは知られていなかったので、私が監修と翻訳を行って、1998年に日本でもこの本を出版しました。出版に合わせてグルコサミンの輸入と販売にも関わりました。

――基本的な質問ですが、グルコサミンにはどのような働きがありますか。

最も大きいのは、抗炎症作用です。

ひざに痛みが起こるのは、軟骨がすり減るからだと思うかもしれませんが、それは違います。すり減った軟骨のかけらなどが滑膜を刺激し、炎症が起こって痛みが生じるのです。この炎症にグルコサミンが働くと考えられます。
グルコサミンは非常に吸収されやすいのが特長です。医薬品の痛み止めに比べて副作用が起こりにくく、安心して続けられるメリットもあります。

ひざ関節の構造

  • 健康な関節は軟骨が十分にあり、動きが滑らか。しかし年齢とともに軟骨がすり減ると、動かしにくさを感じ、すり減った関節軟骨のかけらで炎症が起こって痛みが生じます。ひどくなると関節が変形し、歩けなくなることも。

  • 健康な関節は軟骨が十分にあり、動きが滑らか。しかし年齢とともに軟骨がすり減ると、動かしにくさを感じ、すり減った関節軟骨のかけらで炎症が起こって痛みが生じます。ひどくなると関節が変形し、歩けなくなることも。

  • 関節軟骨
  • 軟骨では、太くて丈夫なコラーゲン線維に保水力の高いプロテオグリカンが絡みつき、弾力を保っています。プロテオグリカンは、核となるたんぱく質にコンドロイチン硫酸やヒアルロン酸などの成分が結びついたもので、グルコサミンからつくられます。

――どのくらいとればよいのでしょうか。

健やかなひざを守るためには、1日1,500r程度。
まずは1カ月間続けてみましょう。

  • 市販のサプリメントは、配合量をチェックして、グルコサミンがしっかりとれるものを選んでください。あわせて、コンドロイチンを一緒にとることをおすすめします。グルコサミン単体よりも、よりよい作用が期待できるという研究データも発表されています。

――“ロコモティブシンドローム”予防のために、私たちができることは何でしょうか。

日常生活に筋力トレーニングをとりいれて、積極的に体を動かしましょう。

  • 筋力を維持することは、ひざの健康を守り、ロコモ予防に役立ちます。少しでも筋肉が落ちるとリスクが上がりますから、意識して筋肉をつけることが重要ですね。

――食生活で気を配る点はありますか。

たんぱく質不足にならないように気をつけてください。

  • 高齢の女性に血液検査をすると、栄養が足りず栄養失調のような状態になっている方が多いです。たんぱく質は筋肉をつくるもとになるので、きちんととりましょう。高齢で肉が食べにくい方は、卵や豆腐などほかの食品からとるのもよいですね。

――グルコサミンで「ひざ」を守り、「筋力」もケアすることが元気な脚づくりに役立ちそうです。

実は、グルコサミンの働きはひざだけにとどまりません。

長寿者を調べると、炎症反応が低いことが分かっていて、炎症を抑えると寿命も延びるのではないかと考えられているんです。そのために、グルコサミンのような安全な抗炎症作用を持つ成分をとりたいですね。

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